目次
作品紹介
何人もの視点で語られるこの物語のあらすじをまとめるのは非常に困難です。
舞台
Y地区と呼ばれるマフィアの統治する地域が舞台で、そこにはサイキックのタイプAや、優れた身体能力を持つが、精神に異常をきたすことのあるタイプBなどの特異体質者が住んでいる。
あらすじ(時系列に若干の前後があるかもしれません)
物語はYS(街を統治しているマフィア)の幹部である馬明の娘、ミミの結婚式から始まる。
その結婚式は大きな問題は起きずに終わる。
街に不死身の虎が現れ、道夫と亮で撃退する。
その虎の肉片を持って、汐の研究室へ行く。
汐の研究室では、亮がYSの跡を継ぐか継がないかという話になる。(当時の亮は継ぐ気はないと答える)
街の女性がバラバラにされて殺害される事件を追っていた刑事と探偵(路地)が、探偵の恋人がバラバラにされて殺害された現場に行き、不死身の殺人犯のコシチェイと、その協力をする灰上姉妹と対峙する。この時、刑事の方は死亡する。
路地はコシチェイを追うが、灰上姉妹に襲われ死亡しかける(このとき松子の血で不死身となる)
YSのリーダー(龍頭)のクリス・ツェーが死亡し、実質的に亮がYSのリーダーとなる。
実質的にYSのリーダーとなった亮は、厳格な統制を行い、クリス・ツェーの頃の幹部である、劉建志を、組織の掟を破ったとし、部下や娘諸共殺害する。
この時の最初の仕事で、女性関係のトラブルで組織を離れていた馬世傑を呼び戻し、組織に加える。
亮のあまりに非情な裁きに、組織内では反発が起こり、街の人からは恐れられる。
組織がマリアに襲われ、幹部であるジェフリーが死亡する。
このマリアの情報を掴んでおきながら組織に伝えなかったとして、リャオ・志明の幹部の座を剥奪し、相談役とする。
亮の妹、シウがマリアに連れ去られる。
シウはシウと秘密の交流のあった、親友さくらの手によって助け出される。(さくらはこの時足を失う)
亮は街で偶然会った松子と食事をし、二度と会わないと伝え、その直後にクリス・ツェー時代の幹部で唯一?(明らかにエリー・ホワイトは亮の味方をしているが、中立という立場をとっている。)の亮の味方であった、馬明を麻薬の取引を行ったということで、処刑する。
処刑した後に、馬明の娘、ミミも自殺する。
これは更に組織内の反感を買い、幹部のフェルナンデスは組織を離脱。その後死亡する。
こうして幹部連中が一掃され、亮は正式に龍頭となる。
タイプBの解放を目標とする八龍会は、タイプBの副作用を抑える薬、ネオ・ローズの入手をきっかけに八龍解放軍を結成し、リーダーに亮の親友である見土道夫が就任、同じく親友であった紺太もこちらに加わる。タイプBの患者?を多く受け入れていた病院を、タイプBを実験台にして非道な実験を行っているとして、襲撃、職員を殺害する。
馬明を殺害した亮に怒り、シウは道夫の元へ行く。
職場に訪ねてきたコシチェイ(別人の姿)と再会。松子はコシチェイと戦闘になり、松子は殺害される。
八龍会は灰上と対決、灰上は死亡(不死身の為、江梨子だけ残る)、コシチェイの身柄は汐へと移される。
道夫は病院から連れ出された内田広美に殺害される(病院の良くしてくれた職員の仇討ち)
その後灰上は汐の実験室を訪れ、そこに居る亮に、松子の指とコシチェイの交換を持ちかけ、交換する。
エンディング
亮はクリス・ツェーと同じ病で死亡し、トーマスがYSのリーダーとなる。
世傑はYSを離脱、YSは新たなタイプB勢力と世傑の勢力と三つ巴の争いとなる。
路地は指先から復活した松子と共に孤児院を営んでいるエリー・ホワイトの元へと訪れる。
エリーの血液で蘇った亮と松子は再開する。
ローズクラブ編
本編の過去編である
この頃、YSは存在せず、街を実質的に支配していたのはローズクラブという大企業である。
ローズクラブは街の女性を買い、それを売って商売にしていた。最上位クラスでは、金さえ払えばローズクラブの商品である女性に対して好きなことができる。
このローズクラブには不死身の女性がいた。
太刀川は悪友に連れられ、ローズクラブを訪れる。そこで逃げ出してきた不死身の女性(後のベルーハ)と出会い、同じくクラブに居たクリス・ツェーと共にクラブからその女性を連れ出す。
クリス・ツェーは当時からY地区のギャング、義勝(後のYS)のリーダーをしていた。
連れ出した女性を初代エリー・ホワイトの元へ連れて行き、匿ってもらう。
初代エリー・ホワイトからベルーハという名前をつけられる。
義勝は仲間を集いクラブに侵入、ローズクラブを破壊する。
ローズクラブは不死身の女性の血を商品女性の中から希望者に分け与え、不死身としていた。
これを儀式と呼んでいた。
この不死身の女性は、コシチェイの変身できる姿の1人である。
不死身の女性を処分する際は、ローズという薬品を打ち、不死身ではなくしてから殺害していた。
当時、ローズクラブの死体処理をしていた汐は、偶然生きている肉塊を発見し、その肉塊が成長したものが松子である。
その後松子は汐や亮と暮らすうちに感情が芽生え始め、人に近づいていく。
超大筋ですらこの量…非常に濃いストーリーでした。
気に入った点
何と言ってもテキストでしょう
本作はCG自体の枚数は少ないです。だからこそこのテキストが輝く。
ひとりひとり心情や特性が細かく描かれ、人物像を立体的に感じることができました。
これがとても重要で、例えば亮が掟を破った幹部連中を粛清する場面などはこの立体的な人物像があるからこそより濃いドラマになると思うのです。
心情の描写も圧巻で、瀬戸口先生の描く主人公は感情の起伏が少ないことが多いと思っています。今作の亮も起伏の少ない方です。
その主人公の感情の描写、或いは人が人でないものになっていく場面に毎回驚かさます。
これとか…口数の少ない亮がペラペラと喋ることに不安を覚えるのは当たり前ですが、最後の文なんてもう…たまりませんよね。
こういった直接表現をするテキストではなく、状況を想像させるテキストを書くことにより、直接表現するより鮮明に感情を読み取れるようにつくっているのだと思います。
完全に脱帽です。
感想
傑作でした。馬明の死から特に描写が激しさを増し、ストーリーに勢いがついてきたと思います。
エピローグも良いんですよね…作中でも言っていたとおり、それぞれの人生を物語にしているので、YSの区切りで終わるのではなく、あくまでひとりひとりの人生の歩みを描いた終わり方は納得のいくものでした。
これの良さを語り出したらキリがないので今回はこの辺りで終了とさせていただきます。
お疲れ様でした。