ALPHA-NIGHTHAWK、BETA-SIXDOUSEのファンディスクとして発売された本作。
よくあるキャラクター選択画面から短いアフタープレイする前はストーリーを選択し、甘々な日常を読む形式を想像していましたが、電灯先生なら想像を超えた凄いことをやってくれるだろうという期待もありました。
私はそんなこんなで期待に胸を膨らませながらプレイしました。
作品の内容
本作は、プロローグから始まり、ナユタがチベットからコズミックオアフに訪れるパート(以降ナユタ編)と、ウォーが意識の世界にダイブし、父であるオスカーの人生を見ていくパート(以降ウォー編)の2つがメインで構成されています。
ナユタ編とウォー編は同時に進行していき、たまに交わったり、離れたり、2つを通してひとつの物語を映したりします。
2つの物語のどちらにも言えることが、今作はこれまでの2作以上にキャラクターの人物像が、詳細かつ鮮明に描かれているように感じました。
そもそもが愛の物語であるシリーズですので、キャラクターに深く入れ込める今作は、シリーズにとって非常に重要な位置にあると言えるでしょう。
ナユタ編
何気ない日常がただただ幸せです。
争いや事件のあった過去2作品とは異なり、日常をメインに描いた本パートでは、キャラクターの考え方や芯が見えてきました。もちろん前作からそういった部分はありましたが、本編では、一層そういった部分が多く語られたように感じます。想像していたとおりの楽しい日常でした。改めて読むとめちゃくちゃ感慨深いです。
ALPHAのBETAの架け橋だったナユタのおかげで、より2作品の結び付きが強くなったように感じます。
新たなキャラクターの一面が見えたりする彼らの日常は、ささやかな幸福感を味わえました。
ウォー編
こちらは熱い物語となっております。電気羊の人間性や愛する人への想いに悩まされながら、夢に向かって進んでいくオスカーと、彼に恋したフロッピー、イライザの物語となっております。
ここの辺りの設定はかなり複雑で混乱してしまいます笑
オスカーはただただ漢なんですよね。一蔵や羊介も格好良い主人公ですが、彼らよりダンディというか色気があるというか…めちゃくちゃイケオジなんですよ。
そんなオスカーの息子であるウォーも、見た目、女性の愛し方、熱い心を持っているところなど、あらゆる面で彼に似ています。
オスカーの人間性は、BETAをやって感じたウォーそのものでした。
彼らは大人でしたから、複雑に想いが絡んでしまったのかなぁなんて思いながら、彼らの不器用な恋愛を眺めていました。
花子
今作で彼女のことが掘り下げられたのは少しだけでしたが、個人的に大好きなキャラクターでもあるので、とても印象に残っています。
世界を変える程の天才の愛は、やはり大きく、世界規模なんですよね。
子供の夢の中で生きるのも非常に彼女らしいです。
総評
いざやってみると登場人物の多さに驚きました。本作では、あらゆる人達の物語が語られましたが、作品全体としてとても上手く纏まっていました。電灯先生の手腕にはただただ脱帽です。
人は何度も空を見上げて、星の光を眺め続ける
良い言葉ですよね。この言葉は、本作のサブタイトル的なものだと思っています。
心に愛を持った人が、星(希望、夢)に向かう物語であるこの作品に相応しい言葉ではないでしょうか。
種別を超える愛と簡単に言いますが、その愛を希望にして奮闘した人達。
それは簡単に手が届くものではないが、なんども、なんども挑み続けた人達にはそれぞれの物語がありました。
もはやSTX-SFシリーズは、ライアーソフトを代表するシリーズの1つだと思っています。
このGAMMA-DIMENSIONは、その3作目に相応しい素晴らしい内容の作品でした。
追記・やはりブラックキャンバスが面白いですね。