ブランド きゃべつそふと
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評価
この作品で評価したいのは、物語の構成とキャラクターの使い方が非常に上手いことです。
構成の上手さは言うまでもなく、伏線等の仕掛けが非常に多く、結末を考察しながら読み進める本作の非常に面白い要素のひとつでした。
キャラクターの使い方というのは、ほぼ一本道のストーリーの中でキャラクターが満遍なく活躍していたことです。
結末が定まった物語は多くの場合、キャラクター1人にスポットライトを当てて物語が展開されることが多いのですが、この作品は満遍なくキャラクターが活躍し、どのキャラクターの魅力も薄れることなく結末をむかえます。
そういった面で革新的な作品だと感じました。
この手法はキャラクターを立たせたい作品にとってはまさに理想ですが、非常に難しいことだと思います。これ程上手く多くのキャラクターを魅せた作品はあまり多く知りません。
賛美歌 アメイジンググレイスについて
キリスト教のアメイジンググレイスという賛美歌は非常に有名です。恐らく日本人でも殆どの人が聞いた事があるのではないでしょうか。
アメイジンググレイスを日本語に訳すと素晴らしき神の恩寵です。
この賛美歌は、神のことなど信じず、罪深い行いばかりをしていたが、奇跡というべきものによって助けられ、改心したというジョン・ニュートンにより書かれたとされており、歌詞にもそのようなことが書かれています。
この賛美歌の内容や彼のエピソードを意識すると、罪人が救われる本作の内容は、より納得のいくものに感じます。
感想
素晴らしい作品でした。なんと言っても読み進めることに楽しさがありましたし、キャラクターも良い子ばかりで魅力的。人を選ばず楽しませてくれる作品だと感じました。
惜しい部分は、作品の楽しさはよく伝わってくる反面、葛藤や苦しみの描写は少し薄かったように感じられたところです。
これは個人的な好みになりますが、街を破壊して美を求めるほど追い詰められたギドウ先輩や、いくら尽くしてもやり直されるサクヤの心情など、もう少し生々しく描いても良かったのかと思いました。
それを踏まえても満足のできる作品でしたが…
余談
時期は冬頃の作品だとは聞いていたのですが、予想以上にクリスマス一色な作品だった為、クリスマスにやれなかったことが少し心残りです。