ブランド 13cm
内容
憧れの少女を誘拐した主人公は、彼女に大好きなゴムのスーツを着せる。
感想
この作品の魅力は常軌を逸する尖り方に尽きると思います。
まず挙げられるのはラバースーツを用いた表現でしょう。
基本的にほのなはラバースーツを着たままであり、顔を見ずに終わるエンディングもあります。
顔を見れるルートに入っても、終盤まで顔を見せることはありません。
読み手はどんな顔なのか気になりながらずっ読み進めていくわけです。
この時点で異色の作品なのですが、ラバースーツの効果はそれだけではありません。
この作品は感触や心情が丁寧に描かれており、性行為の時には一層丁寧に描かれています。
それに加えて、女体の質感や香りは想像し難いものですが、それに想像し易いゴムの質感や匂いが絡んでリアリティとインパクトが何倍にも増して感じられます。
やる前はマニアックなプレイだとしか思っていないラバースーツでしたが、表現にまで絡んできたので驚きました。
他にも、ラバースーツは内面を映す鏡のような使われ方もしています。
行為の最中やそれ以外から渡の内気な性格と暗く幼稚な思想が読み取れます。
基本的に渡はそれらを内に秘められており、表に出すのを恐れています。そして、当たり前ですがその内面は他人からは見えません。
私にはその内面の形がラバースーツに包まれている彼の見た目と重なって見えるのです。
このようにこの作品はゴムによって全てが語られると言っても過言ではないと私は思っています。
次に挙げたいのはほのなについてです。
一言で言えばイカレヒロイン。その壊れ方は決して気分を害するものではありませんが、尋常ではありません。
まず拉致されて最初こそ自分はどうなるのか、ここはどこなのかなど当たり前のことを心配していたのですが、すぐにそんなことより渡と話が出来ない、渡が何も言ってくれないことが不安になり、自分から渡に話しかけるようになります。
渡もそんな彼女が何を考えているのか分からず、変な勘ぐりや妄想をして距離が離れます。
2人ともどこかズレているんですよね…おかしいのは他のヒロインもですが。
極めつけはラバースーツが外れた時の表情ですね。このCGはほのなの特異性を感じる1枚だと思います。記憶に焼き付いて忘れられません。
最後に表現力
テキストの書き方が凄まじく、心情描写が鮮明です。
先に挙げた2つもこの作品の魅力ですが、作品としての価値を高めているのは圧倒的な表現力だと思っています。
これ無しではただのニッチな性癖に刺さるイロモノ作品としての評価しか出来ないと思いますが、この表現力こそがこの作品を傑作と言わせているのです。
総評
何から何までインパクトがあり、異色な作品でした。
やはりこういったエロゲならではの作品というのはそれだけで価値がありますし、内容も傑作と言えるものだと思います。
やるのが遅すぎたくらいですが、私がエロゲを始めた頃から気になっていた作品なのでやれて良かったです。とても満足できました。