こんこんちきな日記

名前に意味はありません。エロゲや本などの感想を書いていけたらいいなと思います。拙い文章で申し訳ありません。

秋(芥川龍之介)

芥川龍之介の作品に触れるのは高校生以来です!

 

今回は秋について話していこうと思います。

 

目次

 

 

今回はこの2つだけです(笑)本の感想は基本この2つを書いていこうと思います。

 

簡単な内容

一言に纏めると、負け犬の姉のストーリーです。

文学に夢中だった姉は、同じく文学に夢中だった幼馴染が好きだったが、妹も幼馴染が好きだと分かっていたので自分は他の人と結婚。妹はその後に幼馴染と結婚する。姉は素朴で幸せな夫婦生活を営みながら、再び文学に向かい合う。幸せもつかの間、大人しかった夫は酒を飲み、荒れて帰ってくるように。耐えられなくなると、妹夫婦のところへ遊びに行く。妹夫婦と最初は仲良くやっていたが、やはり幼馴染が好きなので、幼馴染と一晩寝てしまう。その様子を妹は見ていた。姉の妹を妬む気持ちに対して妹も反発し、姉妹の仲は悪くなる。滞在期間は終わり、夫の元へ帰る。

姉は夫の元へ帰った時には、入れ込んでいた文学も、素朴で幸せだった夫婦生活も、好きだった幼馴染も、仲の良かった妹も失ってしまっていた。

という話です。出来事だけを起こすと昼ドラみたいですね(笑)

 

感想

あまりにもリアルです。言葉で伝えることが難しい複雑な気持ちを背景、匂い、時にはストレートに語りかけてきます。人物の気持ちが文字としてではなく、描写として入ってくるので不思議な感覚でした。文字を目で追いつつも、頭の中に入ってきた時には映像として出力されているのです。

中でも私がこれいいなと思った場面を2つあげます(ニュアンスが違ったり、場面が違ったりしたら御容赦ください)

1つ目は、小説に行き詰まっている信子の様子を描写した「松林を眺めていた」というシーンです。何も浮かばない時、人は遠くを眺めてボーッとしてしまうものですが、それを近くにある松林を眺める信子を想像することによって、状況を理解できます。

2つ目は、信子の悔しさを描写した「食べた魚の生臭さはいつまでたっても取れなかった」という文です。これは色々な解釈ができますよね。単純に悔しくて生臭い感じがしたのか、悔しくて歯を食いしばった時、出てきた血の生臭さを表しているのか、私が浮かんだのはこの2つだけですが、人によって捉え方が違うかもしれません。まあ、正解は無いでしょう。明記されてないので。いずれにせよ痛いほどその悔しさが分かりますね。

私が気になったのはこの2つですが、再度読み返してみるとどんどん見つかると思います。この手の作り込まれた文学は、一度読んだだけではその深くまで潜り込むことができないことが多いですよね。