読書録は久々の更新となります。
宮本百合子の小説は今回で2冊目となります。
伸子は貧しい人々の群に比べて文章自体は読みやすいが、内容や進行が把握にくいという印象でした。
目次
内容
伸子は父と共にアメリカ旅行に出ていた。そこで、古代東洋語研究者の佃と出会う。
父が当時流行っていた病にかかり、心身共に追い詰められていた伸子を佃が支え、結婚を決意する。
佃との交際は周囲の人間から反対されてばかりであった。しかし、伸子は持ち前の情熱で周囲の反対を押し切り結婚する。
佃と伸子は日本に帰国、伸子の家に向かうが、そこでも伸子の母に反対される。これをきっかけに母と伸子は対立状態、次第に佃に不満を持ち始め、周囲の反対を押し切ってまで結婚に漕ぎ着けた伸子の情熱は冷めつつあった。
その後も夫婦の溝は埋まらず、最終的には離婚することになる。
感想・評価
分かりにくい(笑)
1日読んでも2、3ページという大変悪い読み方をしてしまったのは間違いないのですが、それにしても分かりにくいです。理由としては
登場人物が多いかつ、登場が急
あれ、この人…誰でしたっけ…と思うような場面も少なくありませんでした。
背景を掴みにくい
最初アメリカということが分かりませんでした。出てくる人はほとんど日本人でしたからねぇ…移動のことも書かれてはいなかった(はず)
なので、それも相まって場所を掴みにくかったです。
「宮本百合子らしさ」
私が初めて彼女の書籍を手に取ったのは小説ではなく主張文でした。
それから、貧しい人々の群を読み、伸子を読み、その時受けた強気で情熱的という印象かそのまま文に出ていました。
伸子では、その「らしさ」から一変、熱が冷めるところまで描かれています。私はそれに衝撃を受けました。
女性にオススメ
作者の実体験を元に書かれたものですので、伸子の心情は女性の方が理解できると思いました。実際当時は女性の間で流行っていた小説のようですし。ここまでリアルに描かれたものは私の読んだものでも多くないので印象に残っています。
感想
私には合わないかな、というのが正直なところです。文学者でも女性でも、ましてや当時の様子も知らない私ですから、理解し難いことも少なくありませんでした。
しかし、合わないところばかりではありませんでした。私はこの話の伸子が、凄い小説を書きたいという想いを胸に秘めている所が好きでした。それがそのまま情熱にも繋がってきます。やはり、心に大きな夢を秘めた人の話は我々の大好物です。憧れてしまいますものね。