蟹工船(小林多嬉二) 感想
久々の読書録です。最早定例挨拶になりつつありますよね…すみません。
あらすじ
カムサッカへ蟹を取りに行く労働者の、行き過ぎた資本主義に反抗する話。
簡単に説明するとこれだけです。分かりやすく纏められる話だったので助かりました(笑)
感想
この本を読んで最初に持った感想は、なんて「臭い」の強い文なのだろうというものでした。読んでいて身震いするほどの悪臭が文から伝わってきます。それがそのまま如何に劣悪な環境で働かされているか分かるつくりとなっているわけですね。
しかし、いくら臭いがキツいといっても慣れてくるのです。そうして慣れてきた頃には劣悪な労働環境による、体の変化、心の変化が鮮明に浮き出てきます。
このように情景描写が凄まじく上手いです。正直読んでいて震えました。
この本の魅力は文体だけでなく、労働環境の改善を求める声というのはとてもタイムリーな話題で、現代にいながら共感できることは多いと思います(と、言ってもここまで劣悪な環境は多くないと思いますが…)
変にドロドロせず、分かりやすい悪があるのでスッキリするところも読みやすくて良いと思います。
このように読みやすく、分かりやすい文の魅力のある本となっております。もっと若い頃に読んでおくべき一作だと感じました。